Londonへの旅を準備する

旅の前に

入国から2泊3日をどのように、歴史を感じながら。

2泊3日の短い滞在で何をするか。
鈴木博之「ロンドン、地主と都市デザイン」(筑摩新書、1996年)に触発されるところ大であった。新書の帯には、「ロンドンは広大な土地を持つ地主たちにより、エステートごとに開発されてきた。公園やストリートの名前からは地主や開発に携わった人物が読み取れる。彼らはまとまった土地を全体として有効に活用する町づくりができる立場なのだ。ロンドンを散策しながらエステートと建築の由来を追い、特異な発展を遂げてきた巨大都市の形成史を知る」とあった。
また当時の藤森照信氏の書評で「降り立つ前に読んでその都市のおおまかな姿形を知り、帰ってきてから読んでナルホドそういうことだったのか、と膝を打つような本を長年求めてきたが、このたびやっとロンドンについて入手できた(ALL REVIEWS事務局注:本書評執筆時期は1996年)。」とある。建築家の手による、読みやすい貴重な都市形成史である。
書き始めは、ヒースロー空港から出発で、「ヒースロー空港を出てロンドン市内に向かう車は、M4という高速道路を進んで行く。右手にちらっと見えるのがサイオン・ハウスの敷地の一部だ」とある。
400年以上の長きに渡り、イングランドの名門貴族、ノーサンバランド公爵家が暮らす邸宅「サイオン・ハウス」は、かつてヘンリー8世の5番目の妻キャサリン・ハワードが幽閉され、「9日間の女王」として知られるジェーン・グレイが即位を告げられるなど、英王室と深い縁と歴史を持つ屋敷と紹介されている。ぼんやりと景色を眺めるのではなく、目的物を探して、となりそうだ。
大英博物館がこの2泊3日のメインとなる関心事だ。この世界一の博物館の紹介はたくさんあり、どのように、何を見るか興味深い記事が目白押しだ。 鈴木博之氏の新書の紹介では、
ハンス・スローン卿(内科医、1753年死去)のコレクションを1755年にモンタギューハウスに展示したことに端を発し、これにハーレー家のコレクションが加わり、
ディレッタンティ協会(1732年、ロンドンで設立)の人たちの様々な収集品が加わっていく。
リチャード・ペイン・ナイト(1751~);ブロンズ製品
、ウィリアム・ハミルトン;ギリシャの壺、1772年
、チャールズ・タウンレイCharles Townley ;大理石彫刻、1804年、1814年
、エジプトの美術品(ロゼッタ石含み、1802年、英軍がアレキサンドリアで仏軍に勝利して入手した品々)、
エルギン・マーブル:パルテノンの大理石彫刻群、1814~1815年などが代表的である。このように、大英博物館は250年の歴史を持ったコレクションの連合体であり、現在もその運営に当たる49人の評議員は夫々のコレクションの代表なのだそうだ。広大な展示の広がりとともに、その歴史的・時間の奥行を感じるのも面白い。
大英博物館のあるBloomsbury地区は、Russel square, Bedford squareを始め、住宅地として開発された際の中心となった緑地公園が点在している。その園地の名称は、このエステートを開発した貴族に由来している。ヴァネッサ・ベルとヴァージニア・ウルフの姉妹、メイナード・ケインズら20世紀初頭の教養人グループ;Bloomsbury groupが集ったGoldon square46番地を訪ねてみたい。

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